「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その11

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.101〜110

101 ラヴォアジエ 4389411012
ラヴォアジエ (Century Books―人と思想)
中川鶴太郎

清水書院 1991-12
売り上げランキング : 831617

102 T.S. エリオット 4389421026
T.S.エリオット (Century Books―人と思想)
徳永暢三

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 838980

103 シュトルム 4389411039
シュトルム (Century Books―人と思想)
宮内芳明

清水書院 1992-06
売り上げランキング : 1265986

104 マーティン L. キング 4389411047
マーティン・L・キング (Century Books―人と思想)
梶原寿

清水書院 1991-12
売り上げランキング : 676980

105 ペスタロッチ 4389421050
ペスタロッチ (Century Books―人と思想)
長尾十三二 福田弘

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 310340

106 玄奘 4389411063
玄奘 (人と思想)
三友量順

清水書院 1994-10
売り上げランキング : 293970

107 ヴェーユ 4389411071
ヴェーユ (Century Books―人と思想)
冨原眞弓

清水書院 1992-04
売り上げランキング : 182900

108 ホルクハイマー 4389421085
ホルクハイマー (Century Books―人と思想)
小牧治

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 584737

109 サン=テグジュペリ 4389411098
サン・テグジュペリ (Century Books―人と思想)
稲垣直樹

清水書院 1992-04
売り上げランキング : 623739

110 西光万吉 4389411101
西光万吉 (Century Books―人と思想)
師岡佑行

清水書院 1992-03
売り上げランキング : 915604

101 ラヴォアジエ (wikipedia:アントワーヌ・ラヴォアジエ

やがて近代化学の創立者となるラヴォアジエが、パリの街路照明の改良に関する懸賞論文で国王の金賞を受けたのは、22歳の時であった。24歳で、悪名高い徴税請負人の職と、名誉ある科学アカデミー会員の地位とを同時に手に入れた彼は、豊かな財力と非凡な知力に物を言わせて、「化学革命」を開始する。シュタール以来のフロジストン理論を追放し、新元素表によって、物質観の歴史を変革した。フランス革命に際しては、科学者としてメートル法の制定に腐心し、また、重農派の財政家として銀行の整備、アシニャ通貨の制定にも関与した。しかし、革命の急進化により到来した恐怖政治が、穏健な改革派のラヴォアジエを断頭台へ送る。50歳8か月の生涯であった。本書は、単なる「科学偉人伝」ではなく、18世紀フランスの歴史と文化の中で生きた、人間ラヴォアジエの物語である。 (表カバー)
102 T.S. エリオット (wikipedia:T・S・エリオット

「荒地」(1912)という革命的な長詩で英米の詩界に影響を及ぼした。それは第二次世界大戦後のいわゆる荒地グループの人たちの作品に明らかである。そして、エリオットを専門に研究する人の数も実に多い。しかし、人間エリオットについては、オポッサムに譬えられたこととのある彼自身が私生活について語ることが少なく、資料不足もあって陰翳のあるエリオット像は眺められなかった。本書では、P・アクロイドの「エリオット伝」その他を参考にして、人物としてのエリオットの表裏を描き出し、彼の詩の手引きをすることを心がけた。エリオットの伝記はその詩を直接には解説しないにせよ、深いところで人生と詩は互いに照らし合っていることが分かると思う。 (表カバー)
103 シュトルム (wikipedia:テオドール・シュトルム

テーオドル・シュトルムは『インメンゼー』(「みずうみ」)や優れた叙情詩で有名であり、無神論者で反貴族主義的立場から『ヴェロニカ』『大学時代』など庶民生活ばかりを書いたので、今日でも人々に愛されている。しかしシュトルムには、故郷シュレスヴィヒ・ホルシュタイン地方の独立戦争に加担したためデンマーク政府に追われ、やむなくプロイセン王国に亡命し、11年後故郷がドイツ領になった時、やっとのことで帰郷するという苦難の時代があった。晩年には『溺死』『グリースフース年代記』等の歴史小説を書き、最後には『白馬の騎手』という壮絶な作品を描いてこの世の矛盾性を痛烈に批判した。この社会批判が何と百年後の現代ドイツにもあてはまっており、注目を浴びている。 (表カバー)
104 マーティン・L・キング (wikipedia:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア

1963年8月28日ワシントン大行進において「私は夢を持つ[アイ ハヴ エ ドリーム]スピーチを行ったマーティン=ルーサー=キングは、1968年にテネシー州メンフィスで暗殺され39歳の生涯を終えるが、1986年からは彼の誕生日が国民の祝日として制定実施されるに至り、「アメリカの夢」の使徒としての声価が定まったかに思われている。だがキングがその生涯の最後に目ざしたものは、物指向のアメリカ社会の構造と価値観を根底から覆えして、人間指向の「愛の共同体」に再創造することであった。いったいキングにおけるこのラディカリズムの源泉は何であろうか。本書はこの秘密に、あらゆる危機の時に彼を根底から支えた奴隷制以来の黒人キリスト教の信仰伝統に視点を据えながら、迫ろうとする企てである。そして彼の抱いた夢が、単なるアメリカの夢を越えた人類の夢でもあることを解明する。 (表カバー)
105 ペスタロッチ (wikipedia:ヨハン・ハインリヒ・ペスタロッチ

ペスタロッチは、スイスのチューリッヒに生まれ、かのゲーテと、ほぼその生涯を重ね合わせて生きた。ルソーの影響のもとで思想形成をした彼は、社会的弱者のために生きる、という青年期の思想を、終生求め続けた。教育者ペスタロッチの名前はあまりに有名であるが、その彼が「立法と子供殺し」と題する論文で、不当な処遇に泣く「未婚の母」たちのために秘密・安全・無償の出産を保証すべきであると主張したことは、それほど知られていない。ブルクドルフでの彼の教育実験を助けようと、最初にやってきた三人の青年は、揃いも揃って学歴社会からのハミ出し者で、当時の学校教育に失望していた連中だった。そんなことを想起してみるのも、現代教育の課題を根本から考え直そうとしている私たちにとって、重要な示唆の一つとなり得るのではないだろうか。 (表カバー)
106 玄奘 (wikipedia:玄奘三蔵

さかまく波濤は、やがて静寂な水面となる。ひとは、自らの生涯だけを確かなものとして送る。その生涯をかけた願いや祈りが伝えられ、継承されるのは、理想に懐く熱い思いの如何かもしれない。玄奘三蔵の生涯は、忘れかけている情熱やロマンを現代に蘇らせる。玄奘三蔵の名は知らなくとも、親しみをこめていう「三蔵法師」の呼び名は皆が知っている。同様に、彼の翻訳経典が何れかを知らなくとも、玄奘訳『般若心経(摩訶般若波羅蜜多心経)』は、今日にも大変親しまれている。インド的思惟にもとづく「空」と中国的思惟による「有」との離隔をつなぐことも、玄奘三蔵の西域求法の目法であった。 (表カバー)
107 ヴェーユ (wikipedia:シモーヌ・ヴェイユ (哲学者)

1931年、22歳で哲学教授となり、43年、34歳で死んだシモーヌ=ヴェーユは、2つの世界大戦に挟まれた混沌の時代を、彗星のように、駆けぬけていった30年代の証人である。この類いまれなる誠実さと知性とをかねそなえた女性は、日々刻々と生起するできごとのうちに、思索と行動の糧を求め、妥協することなくみずからの信念に忠実に生き、古今東西の文献を駆使して、哲学・宗教・政治・歴史・民間伝承・科学などの宏大な領域におよぶテーマを検討した。キルケゴール的な「単独者」にも通じるヴェーユの思想的立場を、大半の人間は真似することができないし、真似する必要もない。すべての人間が「聖性」に呼ばれているわけではないからだ。しかし、現実にそのような人間も存在すると知ることは、自分自身の生き方を考え直す契機となるはずである。 (表カバー)
108 ホルクハイマー (wikipedia:マックス・ホルクハイマー

1973年7月、ホルクハイマーが亡くなったおり、数多くの新聞は、その死を悼んで記事をのせた。その見出しは、「一時代の終わり」「真実のための生活」といった彼の偉大さを讃えたものから、「批判理論の父」「フランクフルト学派の創設者」「資本主義の批判家」「科学の自己反省を求めて」といった彼の批判的・変革的姿勢に視点をあてたもの、さらには「不正への憤り」「完全な正義へのあこがれ」「ユートピアペシミスト」「深くユダヤ的伝統に根ざして」と、ペシミズムならびに「あこがれ」論に焦点をあてたものに及んでいる。これらは、彼の多彩な顔を示しているといえよう。哲学の真意が現存するものの批判にあることを根本とし、人間によって形成されたこの文明が、何ゆえに真に人間らしい状態へ進むかわりに、たえず新しい一種の野蛮へ落ちこんでいくのか、を問い続けた哲学者、その相をこの小著は追ってみようとする。 (表カバー)
109 サン=テグジュペリ (wikipedia:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ

人間が空を飛ぶとはどういうことか? 飛行機は単なる高速の輸送手段ではない。飛行機は、原始以来人類を縛ってきた重力という運命からの、人間の肉体の、そして精神の解放である。飛行機の登場を待って、人間は初めて地上的、日常的な時空を離れ、宇宙的な思想に手が届くようになったのだ。1961年、人類初の宇宙飛行に成功したソビエトの宇宙飛行士ガガーリンは「地球は青かった」と言った。これに先立つこと数十年、あの『星の王子さま』の作者、サン=テグジュペリパイロットとして天空を駆けめぐりながら、地上の人間社会を超える倫理と夢と「時間」を創造し、文学作品に定着した。彼が何を考え、何を感じたかを知ることは、21世紀、そして、その先の時空に向かって飛翔する翼を、われわれ人間ひとりひとりに与えてくれるだろう。 (表カバー)
110 西光万吉 (wikipedia:西光万吉

「人の世に熱あれ、人間に光あれ」。西光万吉が1922年、全国水平社の創立にあたり、日本の最底辺からの人間解放のメッセージは今なお息づいている西光は戦後、和栄政策を構想し、一貫して不戦世界の建設を説き続けた。平和運動のスローガン「大砲よりバター」「再軍備より福祉」を、西光は自国本位として退け、日本国憲法に根ざしながら国際的視野をもつべきことを強調した。日本の国際貢献が問われている今、政府はなし崩しに憲法を空文化し、自衛隊の海外派遣に道を開こうとしている。西光はこれとは全く違う国際貢献が何かをはるか以前に示している。戦争中、彼は国家主義者として侵略戦争を推進する役割を担ったため、「転向」者として斥けられ、戦後の彼の主張も無視されてきた。本書はこのタブーを破り、初めて西光の生涯を明らかにした。冷戦後の新たな世界の仕組みが模索される現在、西光に学ぶべきことは多い。 (表カバー)