イスラム国(ISIS)とは何かを知る本

イスラーム国の衝撃 (文春新書)
池内恵文藝春秋 2015-01-20
イスラーム国の衝撃 (文春新書)

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11 1. イスラーム国の衝撃
 ▽モースル陥落 ▽カリフ制を宣言 ▽カリフの説教壇 ▽「領域支配」という新機軸 ▽斬首による処刑と奴隷制 ▽何がイスラーム国をもたらしたのか ▽本書の視角――思想史と経済史
33 2. イスラーム国の来歴
 ▽アル=カーイダの分散型ネットワーク ▽聖域の消滅 ▽追い詰められるアル=カーイダ ▽特殊部隊・諜報機関・超法規的送致 ▽なおも生き残ったアル=カーイダ ▽アル=カーイダ中枢の避難場所――パキスタン ▽アフガニスタンパキスタン国境を勢力範囲に ▽アル=カーイダ関連組織の「フランチャイズ化」 ▽「別ブランド」の模索 ▽「ロンドニスタン」の「ローン・ウルフ」(一匹狼)」 ▽指導者なきジハード?
61 3. 甦るイラクのアル=カーイダ
 ▽イラクのアル=カーイダ ▽ヨルダン人のザルカーウィー ▽組織の変遷 ▽イラク内戦の深淵 ▽斬首映像の衝撃 ▽アル=カーイダ関連組織の嚆矢 ▽ザルカーウィーの死と「バグダーディー」たち ▽カリフ制への布石 ▽2020年世界カリフ制国家再興構想 ▽「カリフ制イスラーム国」の始動
87 4. 「アラブの春」で開かれた戦線
 ▽「アラブの春」の帰結 ▽中央政府の揺らぎ ▽「統治されない空間」の出現 ▽隣接地域への紛争拡大 ▽イラク戦争という「先駆的実験」 ▽イスラーム主義穏健派の台頭と失墜 ▽「制度内改革派」と「制度外武闘派」 ▽穏健派の台頭と失墜 ▽紛争の宗派主義化
111 5. イラクのシリアの現れた聖域――「国家」への道
 ▽現体制への根本的不満――2005年憲法信任投票 ▽スンナ派に不利な連邦制と一院制・議院内閣制 ▽サージ(大規模増派)と「イラクの息子」 ▽マーリキー政権の宗派主義的政策 ▽フセイン政権残党の流入 ▽「アラブの春」とシリア・アサド政権 ▽シリアの戦略的価値 ▽戦闘員の逆流 ▽乱立するイスラーム武装勢力 ▽イラクイスラーム国本体がシリアに進出 ▽イスラーム国の資金源 ▽土着化するアル=カーイダ系組織
137 6. ジハード戦士の結集
 ▽傭兵ではなく義勇兵 ▽ジハード論の基礎概念 ▽ムハージル―ンとアンサール――ジハードを構成する主体 ▽外国人戦闘員の実際の役割 ▽外国人戦闘員の割合 ▽外国人戦闘員の出身国 ▽欧米出身者が脚光を浴びる理由 ▽「帰還兵」への過剰な警戒は逆効果――自己成就的予言の危機 ▽日本人とイスラーム
169 7. 思想とシンボル――メディア戦略
 ▽すでに定まった結論 ▽電脳空間のグローバル・ジハード ▽オレンジ色の囚人服を着せて ▽斬首映像の巧みな演出 ▽『ダービク』に色濃い終末論 ▽90年代の終末論ブームを受け継ぐ ▽終末論の両義性 ▽予言者のジハードに重ね合わせる
205 8. 中東秩序の行方
 ▽分水嶺としてのイスラーム国 ▽1919年 第一次世界大戦後の中東秩序の形成 ▽1952年 ナセルのクーデタと民族主義 ▽1979年 イラン革命イスラーム主義 ▽1991年 湾岸戦争と米国覇権 ▽2001年 9.11事件と対テロ戦争 ▽2011年 「アラブの春」とイスラーム国の伸張 ▽イスラーム国は今後広がるか ▽遠隔地での呼応と国家分裂の連鎖 ▽米国覇権の希薄化 ▽地域大国の影響力


イスラム国の正体 (朝日新書)
国枝昌樹・朝日新聞出版 2015-01-13
イスラム国の正体 (朝日新書)

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13 第1章 急速に勢力を拡大する「イスラム国」
 ▽イスラム国は「国」なのか ▽指導者は「カリフ」 ▽最上位の規範は「コーラン」 ▽起源はアフガニスタン戦争 ▽シリア問題に乗じて拡大 ▽指導者の正体
39 第2章 イスラム国の正体
 ▽外国人も重用する組織構造 ▽世界中から集まる戦闘員 ▽「資金」はどこからくるのか ▽実質的な収入源 ▽行政の現状 ▽独自通貨の発行 ▽「武器」はどこからくるのか ▽イスラム国は強いのか
69 第3章 なぜ、欧米人の首を切り落とすのか
 ▽「首切り」の理由 ▽「現代のハワーリジュ派」か ▽奴隷制の復活 ▽異教徒・異宗派の弾圧 ▽「命知らず」の戦術 ▽唯一の適用法律「シャリーア」 ▽目指す「国家像」 ▽「国造り」のための教育 ▽「食糧」問題 ▽「領土」問題 ▽「正統カリフ時代」という理想
115 第4章 なぜ、世界中の若者たちを惹きつけるのか?
 ▽増える外国人戦闘員 ▽チュニジア人が第1位の理由 ▽洗練された「広報・宣伝」戦略 ▽欧米の「大人気ゲーム」を模倣 ▽効果的にSNSを活用 ▽だれも「遮断」できない ▽「口コミ」の威力 ▽「幻滅」と「洗脳」 ▽「移民ムスリム」の若者たち ▽「キリスト教徒」だった若者たち ▽帰国戦闘員による「最初のテロ事件」 ▽ヨーロッパの女性、そして家族連れ
147 第5章 際限なく続くイスラム過激派の系譜
 ▽イスラム過激派」とはなにか ▽「不信仰者」を討つタイミーヤ理論 ▽「革命理論の父」サイイド・クトゥブ ▽「ジハード団」による大統領暗殺 ▽「イスラム集団」による無差別テロ ▽「国際派」アルカーイダ ▽過激派と国際社会
177 第6章 同時多発テロは再び起こるのか
 ▽イスラム国が生まれた背景 ▽空爆の効果 ▽「遠隔洗脳」による無差別テロ ▽進化する「テロ専用爆弾」 ▽イラク・シリア両政府軍の今後 ▽イスラム国滅亡のシナリオ ▽湾岸諸国の「変心」 ▽イランの思惑 ▽カタールの思惑 ▽サウジアラビアの思惑 ▽トルコ・エルドアン政権の野望 ▽「コバニの戦い」の真相 ▽トルコが「消極的」な本当の理由 ▽アサド政権を倒しても解決しない ▽アラブ世界と民主主義


アメリカはイスラム国に勝てない (PHP新書)
宮田律・PHP研究所 2015-01-16
アメリカはイスラム国に勝てない (PHP新書)

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3 はじめに イスラム世界の「パンドラの箱」を開けた米国
22 第1章 「イスラム国」に翻弄される米国
 ▽イスラム世界で深まる「スンニ派」と「シーア派」の亀裂 ▽本音では「イスラム国」根絶に自信がないオバマ大統領 ▽中間選挙の敗北でますます迷走する、対「イスラム国」戦略 ▽米国とは違って、「イスラム国」には戦略がある ▽アフガニスタン同様のプロセスをたどるイラクやシリア ▽差別やヘイトクライムが「イスラム国」に対する共感を呼ぶ ▽「イスラム国」は“処刑”などの恐怖で人心を掌握 ▽イランとの核交渉が成立しなければ、中東の不安定さは増す ▽イランはイラクでは米国の見方、シリアでは米国の敵
68 第2章 世界の脅威となった「イスラム国」
 ▽ヨーロッパ植民地主義支配がもたらした中東の混乱 ▽「イスラム国」の台頭と勢力伸長の背景は何か ▽米軍占領下のイラクの混乱をつくり出したザルカウィ ▽石油と不動産が「イスラム国」の経済基盤に ▽オタワの議事堂銃撃事件は移民国家カナダのジレンマ ▽「イスラム国」支配地域の統治システムとは ▽米軍による「イスラム国」空爆を疑問視するラッカ市民 ▽「イスラム国」が支配していたアンバル県の悲劇
112 イスラム国」をめぐる国際情勢
 ▽イラクからの米軍撤退は誤りだったのか ▽アラブ諸国がシリア空爆に参加した事情とは ▽サウジアラビアでは、イスラム過激派が重大な懸念材料に ▽イスラム世界全体の急進的な潮流に、幅広く目を配れ ▽シリア情勢がイスラエルやヨルダンに飛び火する日
146 第4章 米国の足を引っ張る「同盟国」
 ▽ヨルダン川西岸の入植地拡大に、ヨーロッパは反発 ▽イスラエル国益優先の中東政策は、米国の国益にならない ▽エルサレムは決してユダヤ人だけのものではない ▽イスラエルのアラブ系市民の不満も、中東地域の不安定要因に ▽和平と逆行するネタニヤフ政権に苛立つ米国
176 第5章 「クルド民族」の必死の抵抗
 ▽クルド人が信仰するヤズィード派を「イスラム国」が弾圧 ▽ようやく手にした自治を、「イスラム国」から守りたい ▽女性兵士の戦闘参加は「女たちのジハード」 ▽米国が軍事介入した国は著しく安定を喪失 ▽金銭的動機ではなく民族的感情にかられて戦うクルド人 ▽中東最大の少数民族クルド人の受難の歴史 ▽アサド政権に抑圧され続けたシリアのクルド人 ▽民族的アイデンティティを取り戻したいクルド人
214 第6章 「イスラム vs. キリスト教原理主義
 ▽「イスラム国の台頭を促す米国の戦争経済 ▽世界の武器市場のじつに75%を占める米国の軍需産業 ▽戦争突入への敷居を低くさせる、ゲーム感覚の「標的殺害」 ▽米国が再び、イラクから手を引く日はくるのか ▽「キリスト教右派」とはいったい何者か ▽「アメリカン・ドリームを求める人々を追い出す国ではない」
250 第7章 中東イスラム世界と「日本」
過激派の活動範囲は広がり、メンバーは増加、より残虐的に ▽中東ではもはや、従来の国際政治の力学は通用しない ▽続々と現われはじめた「イスラム国」に忠誠を誓う組織 ▽南ベトナムを見捨てたように、米国はイラクを放棄するのか ▽宗教活動も行わず、宗教的知識にも乏しい「イスラム国」 ▽中東イスラム世界に対して日本ができることは何か

イスラム国 テロリストが国家をつくる時
ロレッタ ナポリオーニ Loretta Napoleoni・文藝春秋 2015-01-07
イスラム国 テロリストが国家をつくる時

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- はじめに 中東の地図を塗り替える
 欧米の多くの専門家は「イスラム国」をタリバンと同じ時代錯誤の組織だと考えている。しかし、それは違う。彼らは、グローバル化し多極化した世界を熟知し、大国の限界を驚くべきほど明確に理解している
- 序章 「決算報告書」を持つテロ組織
 冷戦下のテロ組織は、PLOにしてもIRAにしても、狭い領域内で正規軍に対して戦いを挑んだ。イスラム国の決定的な違いは、群雄割拠する国際情勢の間隙をついて、広大な地域を支配下においた点だ
- 第1章 誰が「イスラム国」を始めたのか?
 「イスラム国」の起源は、ビンラディンに反旗を翻したザルカウィに始まる。「遠い敵」アメリカではなくシーア派を攻撃するその路線は、バグダッド大学でイスラム神学の学位をとった一人の知識人にうけつがれる
- 第2章 中東バトルロワイヤル
 米ソという超大国にいきつく冷戦期の代理戦争と違い、今日の代理戦争は多岐にわたるスポンサー国家が存在する。そうした多頭型代理戦争の間隙をついたのが「イスラム国」だ。いち早く経済的自立を達成し、優位にたった
- 第3章 イスラエル建国と何が違うのか?
 イギリス、フランスの手によって引かれた中東の国境線を消し、新しいカリフ制国家を樹立する。そうとなえる「イスラム国」は、ユダヤ人がイスラエルを建国したのと同じ文脈にあるのだろうか?
- 第4章 スーパーテロリストの捏造
 イラクサダム・フセインアルカイダをつなげるために、欧米によってザルカウィの神話がでっちあげられた。十年後、後継者のバグダディは、ソシアルネットワークの力でカリフ制国家の神話を欧米の若者に信じ込ませる
- 第5章 建国というジハード
 「イスラム国」は、カリフ制国家の建国というまったく新しい概念をジハードに持ち込んだ。それは、アメリカという遠い敵に第二戦線を開いたアルカイダ、腐敗と独裁の中東諸国の権威を一気に色あせさせたのだ
- 第6章 もともとは近代化をめざす思想だった
 「イスラム国」がよりどころにしているサラフィー主義はもともとは、オスマン帝国の後進性から近代化をめざす思想だった。それが欧米の植民地政策によって変質する。「神こそが力の源泉である」
- 第7章 モンゴルに侵略された歴史を利用する
 一二五八年、バグダッドは、モンゴル人とタルタル人の連合軍によって徹底的に破壊された。当時連合軍を手引きしたのはシーア派の高官。21世紀、欧米と手を組むシーア派というロジックでこの歴史を徹底利用する
- 第8章 国家たらんとする意志
 グローバル化と貧困化は、世界のあちこちで武装集団が跋扈する無政府状態を生み出した。しかしこれらの武装集団と「イスラム国」を分けるのは、「イスラム国」が明確に国家たらんとする意志をもっていることだ
- 終章 「アラブの春」の失敗と「イスラム国」の成功
 ツイッターによるイランの「緑の革命」、フェイスブックによる「アラブの春」、ユーチューブによる「ウォール街を選挙せよ」そして香港の「雨傘革命」。これら社会変革の試みが必ずしも成功しなかった理由は何か?