「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その5(II)

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.41〜50

41 シラー 4389410415
シラー (Century books―人と思想)
内藤克彦

清水書院 1994-07
売り上げランキング : 530976

42 道元 4389420429
道元 (Century Books―人と思想)
山折哲雄

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 1354218

43 ベーコン 4389410431
ベーコン (センチュリーブックス 人と思想 43)
石井栄一

清水書院 2000
売り上げランキング : 175196

44 マザーテレサ 438941044X
マザーテレサ (CenturyBooks―人と思想)
和田町

清水書院 1994-10
売り上げランキング : 617985

45 中江藤樹 4389410458
中江藤樹 (センチュリーブックス 人と思想 45)
渡部武

清水書院 1974-09
売り上げランキング : 321536

46 ブルトマン 4389410466
ブルトマン (Century Books―人と思想)
笠井恵二

清水書院 1991-07
売り上げランキング : 667194

47 本居宣長 4389410474
本居宣長 (センチュリーブックス 人と思想 47)
本山幸彦

清水書院 2000
売り上げランキング : 1059827

48 佐久間象山 4389420488
佐久間象山 (Century Books―人と思想)
奈良本辰也 左方郁子

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 271337

49 ホッブズ 4389420496
ホッブズ (Century Books―人と思想)
田中浩

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 992654

50 田中正造 4389410504
田中正造 (Century Books―人と思想)
布川清司

清水書院 1997-05
売り上げランキング : 901427

《内容》

41 シラー (wikipedia:フリードリヒ・フォン・シラー

ベートーヴェンの第九交響曲の終楽章の合唱の歌詞となった『歓喜の歌』の作者シラーは、ゲーテと協力して近代ヒューマニズムの薫り高いドイツ古典主義文学を完成した理想主義詩人である。劇作の巨匠であった彼は、何よりも民衆詩人となることを理想として、あのリンゴの的の話で有名な『ヴィルヘルム=テル』をはじめ、誰にでも親しまれる劇や物語詩をもたくさん書いた。こうして彼は、その作品・思想のみならず、人柄の上からも、最も代表的なドイツ人のひとりとして、今日も多くの人々に愛され尊敬されている。現代社会生活に不可欠なものでありながら、はなはだしく不足しているのは、まさに元素=《シラー》ではなかろうか、といったトーマス=マンの言葉は、シラー文学の現代的意義についての傾聴に値する証言といえるだろう。 (表カバー)
42 道元 (wikipedia:道元

午前三時になると、私は浅いいねむりからさまされた。遠くの方からかすかな振鈴の音がきこえ、短時間のうちにしだいにせりあがり、じっとうずくまっている闇を突き破るような、激しい響きとなって耳元に迫ってくる。初めはすり足のようにきこえていた霊水の足音も、打ち鳴らされる響きの急上昇とともに、天井板をふるわせんばかりの勢いで廊下を走りぬけていった。夜はまだ静寂の底に沈んでいたけれども、振鈴の合図で僧堂の一日が始まったのである。私は心せくままに身支度をし、坐禅堂に入った。頭の奥の方にはしこりのように疲れが残り、身体のふしぶしにひきつけるような痛みが走った。私は道元を想うとき、いつもあの振鈴の音を記憶のなかから呼びさまそうとしているのであろうか。その音は七百余年の時間を飛びこえて、道元の生活のぬくもりをそのまま運んでくれるように思われたのである。 (表カバー)
43 ベーコン (wikipedia:フランシス・ベーコン (哲学者)

ベーコンは、人類の福祉の発明家たらんとした哲学者であった。そのため彼は、広い分野の学問を手がけ、理論と実践の統一をめざし、学問の正しい方法の発明を企てたのである。彼にこうした遠大な夢を抱かせた背景として、当時のイギリスでは第一級の知的、宗教的、政治的雰囲気の中で育ったことが挙げられよう。厳格なカルヴィニストの母アン、国璽相の父ニコラスの薫陶のもとに、自然環境にめぐまれ、典型的な田園地帯にあったヨーク・ハウスとゴランベリ・ハウスとで幼時を過ごしたのである。学問上の大計画を達成するため、下院議員から大法官にまで登りつめ、国王の廷臣を自任した彼。しかし晩年の彼は、収賄によって失脚し、ゴランベリ・ハウスに隠棲した。それでも彼は、最後まで研究と著述に専念しつづけた、科学の精神の鼓吹者であった。 (表カバー)
44 マザーテレサ (wikipedia:マザー・テレサ

あるイギリスの女性がインドを訪ねて、マザーテレサの仕事を見学したとき、彼女は思わず呟いた。「百万ポンドをやると言われても、私にはできません。」すると、マザーは打てば響くように答えたという。「私にもできません。」ここで二人は一致して「ほんとうに同感」という表現をしているが、実は全く別のことを言っている。先の女性は、「とうてい私にはこの仕事はできない」と、百万ポンドに託して嘆息しているのだが、マザーは「お金のためというのならばどんなに大金であっても私にはできない」と言ったのである。お金には価値がある。しかしマザーはお金と引き換えることができないもののために働いているのである。その原動力は何であろうか。マザーは、その生き方で「ひとつの思想」を実現している。 (表カバー)
45 中江藤樹 (wikipedia:中江藤樹

ニ君にまみえずというのはおかしい。よく生きることになっているかどうかが大切である。中江藤樹の基本的な立場はここにある。老母への孝養のために脱藩もあえてした。学問のためには、当時の権威林羅山を、人まね上手の鸚鵡とさえいいきった。藤樹にとって大切なことは、よく生きることに全力を尽くすことであった。この点について、藤樹は、才能の有無も、貧富も、身分の違いも問題にしなかった。だから低能児了佐を一人前の医者に育てあげるのに精魂をつくし、見切り発車をしなかった。人生五〇年を一〇年もはやく、その学問も完成に向かおうというときに、にわかになくなった。まことに惜しいことである。 (表カバー)
46 ブルトマン (wikipedia:ルドルフ・カール・ブルトマン

1941年の夏、第二次世界大戦のさなかのドイツにあってブルトマンは新約聖書の「非神話化」を提唱した。この発言は、それ以後のキリスト教にはかり知ることのできない衝撃を与えた。ここに新しく、主体的、実存的な聖書の読み方が示されたのである。このブルトマンの聖書の実存的解釈が、現代神学の根本をなすものとなっている。この主張は、科学技術の発達した現代社会に生きるわれわれに、知性を犠牲にすることなく、納得できるやり方で、聖書と取り組み、キリスト教を信じ続ける力を与えてくれる。またナチズムとの勇気ある対決や、ハイデッガーやバルトとの深い交流などをとおして示される彼の人柄からも、多くのことを教えられるのである。真理探究と学問への貢献に生き抜いたブルトマンの誠実な姿はわれわれを感動させてやまない。 (表カバー)
47 本居宣長 (wikipedia:本居宣長

宣長の学問は若き日の京都で味わった青春の情感をぬきにしては語れない。この情感が平安の和歌、物語のなかで確実に追体験されたとき、宣長の「物のあはれ」の思想が生まれた。宣長の古典研究は、厳密な考証の学であったが、それはそのまま彼の思想だった。宣長の学問は人間の情感こそ、人間の真実だという彼の思想を基盤とし、その思想の確認を内に包んで築かれる。宣長が半生涯をかけた『古事記』の研究も、それにほかならなかった宣長が『古事記』で発見した神話や、神々の行為は、究極的に彼の思想の正しさを証明するものだった。宣長国学や古道の学は、古代天皇の統治と関連づけながら、人間情感の真実性を、武家が支配し、儒教が公的に人々を規律していた封建の代に主張する新しい思想だった。そこから武士の私を抑える政治思想も生まれたのである。 (表カバー)
48 佐久間象山 (wikipedia:佐久間象山

日本の近代は「東洋」と「西洋」の出会いからはじまった。以後、この二つの世界は、私たちの歴史をおりなす‘たていと’と‘よこいと’である。そのことを、象山は、いかにも象山らしく、「東洋の道徳、西洋の芸術」ということばで喝破した。このことばは、今日もなお新しい意味をもって、日本の近代を考える私たちに迫ってくる。 (表カバー)
49 ホッブズ (wikipedia:トマス・ホッブズ

現代社会は今から350年ほど前のイギリス「ピューリタン革命」によって切り開かれた。この時一人の偉大な思想家が登場した。トマス=ホッブズである。彼は世界初の市民革命の真只中にあって新しい近代国家や近代社会の理論を構築した。そのさい彼は、古代ギリシアの自由な思想を近代において再生させた「ルネサンス運動」と原始キリスト教の人間愛的平和思想を復活させた「宗教改革運動」の精神を接合して、人間の「生命の尊重」に最高価値をおく「自由・平等・平和」を実現する国家・社会・人間論を体系化し、全人類が民主主義の精神を理解することを可能にした。その意味ではロックもルソーもスミスもマルクスも正当な「ホッブズの子」である。日本人の最大の弱点は原理的思考の欠如にあるといわれる。21世紀を正しく生き抜くためには、ホッブズ思想の学習から出発するのが最適である。 (表カバー)
50 田中正造 (wikipedia:田中正造

「怒るべきには怒るべし」これは足尾鉱毒事件に一生を捧げた田中正造の73年にわたる生涯に一貫して見られた信条である。そこには自らの良しとしないことには、あくまでも従うべきではないという不服従の倫理がありありと漲っている。渡良瀬川沿岸、数十万の生活を破壊して平気な古河財閥足尾銅山経営と、それを一方的に庇護して省みない明治政府の不正を、あるいは国会の壇上から、あるいは水没した谷中村の廃屋から批判してやまなかった田中正造の生涯は、われわれに政治とは何か、歴史の進歩とは何か、人間の幸福とは何かを、感動的に考えさせないではおかない。また国際的に環境問題が注目をあびている現在、わが国における公害問題の原点である足尾鉱毒事件とそれへの田中正造のとりくみは、人間と環境との共存に貴重な示唆を与えることであろう。 (表カバー)