『21世紀の資本』読書ガイド

21世紀の資本
トマ・ピケティ 山形浩生みすず書房 2014-12-09
21世紀の資本

目次

  • はじめに (P1)
p 項目
2 データなき論争?
4 マルサス、ヤング、フランス革命
6 リカード――希少性の原理
8 マルクス――無限蓄積の原理
12 マルクスからクズネッツへ、または終末論からおとぎ話へ
15 クズネッツ曲線――冷戦さなかのよい報せ
17 分配の問題を経済分析の核心に戻す
18 本書で使ったデータの出所
22 本研究の主要な結果
24 格差収斂の力、格差拡大の力
27 格差拡大の根本的な力―― r>g
30 本研究の地理的、歴史的範囲
33 理論的、概念的な枠組み
36 本書の概要
  • 第I部 所得と資本
    • 第1章 所得と産出 (P41)
43 長期的に見た資本-労働の分配――実は不安定
46 国民所得の考え方
48 資本って何だろうか?
50 資本と富
54 資本/所得比率
56 資本主義の第一基本法則――α=r×β
60 国民経済計算――進化する社会構築物
64 生産の世界的な分布
64 大陸ブロックから地域ブロックへ
68 世界の格差――月150ユーロから月3000ユーロまで
72 世界の所得分配は産出の分配よりもっと不平等
74 収斂に有利なのはどんな力?
    • 第2章 経済成長――幻想と現実 (P77)
78 超長期で見た経済成長
79 累積成長の法則
82 人口増加の段階
84 マイナスの人口増加
88 平等化要因としての人口増加
91 経済成長の段階
93 購買力の10倍増とはどういうことだろう
95 経済成長――ライフスタイルの多様化
98 成長の終わり?
101 年率1パーセントの経済成長は大規模な社会変革をもたらす
102 戦後期の世代――大西洋をまたぐ運命の絡み合い
105 世界成長の二つの釣り鐘曲線
108 インフレの問題
110 18、19世紀の通貨大安定
112 古典文学に見るお金の意味
113 20世紀における金銭的な目安の喪失
  • 第II部 資本/所得比率の動学
    • 第3章 資本の変化 (P119)
119 富の性質――文学から現実へ
122 イギリスとフランスにおける資本の変化
126 外国資本の盛衰
128 所得と富――どの程度の規模か
129 公共財産、民間財産
132 歴史的観点から見た公共財産
135 イギリス――民間資本の強化と公的債務
138 公的債務で得をするのは誰か
141 リカードの等価定理の浮き沈み
142 フランス――戦後の資本家なき資本主義
    • 第4章 古いヨーロッパから新世界へ (P147)
147 ドイツ――ライン型資本主義と社会所有
153 20世紀の資本が受けた打撃
157 米国の資本――ヨーロッパより安定
162 新世界と外国資本
164 カナダ――王国による所有が長期化
166 新世界と旧世界――奴隷制の重要性
169 奴隷資本と人的資本
    • 第5章 長期的に見た資本/所得比率 (P172)
173 資本主義の第二基本法則―― β=s/g
176 長期的法則
179 1970年代以降の富裕国における資本の復活
182 バブル以外のポイント――低成長、高貯蓄
184 民間貯蓄の構成要素二つ
186 耐久財と貴重品
188 可処分所得の年数で見た民間資本
189 財団などの資本保有者について
191 富裕国における富の民営化
194 資産価格の歴史的回復
199 富裕国の国民資本と純外国資産
202 21世紀の資本/所得比率はどうなるか
204 地価の謎
    • 第6章 21世紀における資本と労働の分配 (P207)
207 資本/所得比率から資本と労働の分配へ
211 フロー――ストックよりさらに推計が困難
213 純粋な資本収益という概念
214 歴史的に見た資本収益率
216 21世紀初期の資本収益率
218 実体資産と名目資産
220 資本は何に使われるか
222 資本の限界生産性という概念
224 過剰な資本は資本収益率を減らす
226 コブ=ダグラス型生産関数を越えて――資本と労働の分配率の安定性という問題
229 21世紀の資本と労働の代替――弾性値が1より大きい
230 伝統的農業社会――弾性値が1より小さい
231 人的資本はまぼろし
233 資本と労働の分配の中期的変化
236 再びマルクスと利潤率の低下
239 「二つのケンブリッジ」を越えて
241 低成長レジームにおける資本の復権
243 技術のきまぐれ
  • 第III部 格差の構造
    • 第7章 格差と集中――予備的な見通し (P247)
248 ヴォートランのお説教
251 重要な問題――労働か遺産か
253 労働と資本の格差
254 資本――常に労働よりも分配が不平等
257 格差と集中の規模感
259 下流中流、上流階級
261 階級闘争、あるいは百分位闘争?
264 労働の格差――ほどほどの格差?
266 資本の格差――極端な格差
270 20世紀の大きなイノベーション――世襲型の中流階級
272 総所得の格差――二つの世界
276 総合指標の問題点
277 公式発表を覆う慎みのベール
279 「社会構成表」と政治算術に戻る
    • 第8章 二つの世界 (P281)
281 単純な事例――20世紀フランスにおける格差の縮小
284 格差の歴史――渾沌とした政治的な歴史
286 不労所得生活者社会」から「経営者社会」へ
289 トップ十分位の各種世界
292 所得税申告の限界
294 両大戦間の混沌
297 一時的影響の衝突
301 1980年代以降のフランスにおける格差の拡大
302 もっと複雑な事例――米国における格差の変容
305 1980年以降の米国の格差の爆発的拡大
308 格差の拡大が金融危機を引き起したのか?
310 超高額給与の台頭
312 トップ百分位内の共存
    • 第9章 労働所得の格差(P316)
316 賃金格差――教育と技術の競争か?
320 理論モデルの限界――制度の役割
322 賃金体系と最低賃金
326 米国での格差急増をどう説明するか?
327 スーパー経営者の台頭――アングロ・サクソン的現象
331 トップ千分位の世界
334 ヨーロッパ――1900-1910年には新世界よりも不平等
338 新興経済国の格差――米国よりも低い?
343 限界生産性という幻想
346 スーパー経営者の急上昇――格差拡大への強力な推進力
    • 第10章 資本所有の格差 (P350)
350 極度に集中する富――ヨーロッパと米国
351 フランス――民間財産の観測所
353 世襲社会の変質
357 ベル・エポック期のヨーロッパの資本格差
360 世襲中流社会の出現
362 米国における富の不平等
365 富の分岐のメカニズム――歴史におけるrとg
368 なぜ資本収益率が成長率よりも高いのか?
373 時間選好の問題
376 均衡分布は存在するのか?
377 限嗣相続制と代襲相続
379 民法典とフランス革命の幻想
382 パレートと格差安定という幻想
384 富の格差が過去の水準に戻っていない理由は?
387 いくつかの部分的説明――時間、税、成長
390 21世紀――19世紀よりも不平等?
    • 第11章 長期的に見た能力と相続 (P392)
394 長期的な相続フロー
396 税務フローと経済フロー
398 三つの力――相続の終焉という幻想
401 長期的死亡率
403 人口とともに高齢化する富――μ×m効果
406 死者の富、生者の富
408 ベル・エポック期における年齢と富
411 戦争における富の若返り
413 21世紀には相続フローはどのように展開するか?
416 年間相続フローから相続財産ストックへ
419 再びヴォートランのお説教へ
422 ラスティニャックのジレンマ
425 不労所得生活者と経営者の基本計算
426 古典的世襲社会――バルザックとオースティンの世界
430 極端な富の格差は貧困社会における文明の条件なのか?
432 富裕社会における極端な能力主義
434 プチ不労所得者の社会
438 民主主義の敵、不労所得生活者
441 相続財産の復活――ヨーロッパだけの現象か、グローバルな現象か?
    • 第12章 21世紀における世界的な富の格差 (P446)
446 資本収益率の格差
448 世界金持ちランキングの推移
453 億万長者ランキングから「世界資産報告」まで
456 資産ランキングに見る相続人たちと起業家たち
460 富の道徳的階層
464 大学基金の純粋な収益
469 インフレが資本収益の格差にもたらす影響とは
473 ソヴリン・ウェルス・ファンドの収益――資本と政治
475 ソヴリン・ウェルス・ファンドは世界を所有するか
478 中国は世界を所有するのか
480 国際的格差拡大、オリガルヒ的格差拡大
482 富裕国は本当は貧しいのか
490 2008年金融危機と国家の復活
493 20世紀における社会国家の成長
496 社会国家の形
498 現代の所得再分配
500 社会国家を解体するよりは現代化する
503 教育制度は社会的モビリティを促進するだろうか?
507 年金の将来――ベイゴー方式と低成長
511 貧困国と新興国における社会国家
514 累進課税の問題
517 累進課税――限定的だが本質的な役割
519 20世紀における累進税制――とらえどころのない混沌の産物
524 フランス第三共和国における累進課税
527 過剰な所得に対する没収的な課税――米国の発明
531 重役給与の爆発――課税の役割
535 最高限界税率の問題再考
    • 第15章 世界的な資本税 (P539)
539 世界的な資本税――便利な空想
542 民主的、金融的な透明性
546 簡単な解決策――銀行情報の自動送信
549 資本税の狙いとは?
552 貢献の論理、インセンティブの論理
553 ヨーロッパ富裕税の設計図
556 歴史的に見た資本課税
560 別の形態の規制――保護主義と資本統制
561 中国での資本統制の謎
563 石油レントの再分配
565 移民による再分配
    • 第16章 公的債務の問題 (P567)
568 公的債務削減――資本課税、インフレ、緊縮財政
572 インフレは富を再分配するか?
575 中央銀行は何をするのか?
578 お金の創造と国民資本
582 キプロス危機――資本税と銀行規制が力をあわせるとき
585 ユーロ――21世紀の国家なき通貨?
588 欧州統合の問題
592 21世紀における政府と資本蓄積
595 法律と政治
597 気候変動と公的資本
599 経済的透明性と資本の民主的なコントロール
  • おわりに (P601)
601 資本主義の中心的な矛盾――r>g
604 政治歴史経済学に向けて
606 最も恵まれない人々の利益