「とりかじいっぱーい」の取舵ってなんだろう?

 船を転舵するときに、右へ転舵なら「面舵」、左へ転舵なら「取舵」です。舵そのまま直進なら「ヨーソロー」。


 方位をあらわす方式に「十二方位式」というのがあり、円周を12等分して30度ごとの角度で表します。北を0度として、30度、60度、90度、…、270度、360度で北に戻ります。このとき、90度が東、180度が南、270度が西となります。
 時計の文字盤の方向であらわす「クロックポジション」も同じ概念で、正面を12時の方向として、30度刻みで、1時の方向、2時の方向、…、とぐるっと回って12時の方向で一周します。北を12時の方向にあわせれば、3時が東、6時が南、9時が西です。同じですね。


 東洋では古来より、十二方位のそれぞれに十二支をあてはめたものが使われていました。十二支は、〔子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉 戌 亥〕なので、北(0度)が子、東(90度)が卯、南(180度)が午、西(270度)が酉です。
 面舵、取舵の語は、この十二方位に由来しています。


 面舵とは右手方向への舵のことで、語源は「卯」舵。ウノカジ から オモカジ に転化したものです。 取舵とは左手方向への舵ことで、語源は「酉」舵。トリカジ そのままです。

 ブログで円周上の表が書けないのでちょっともどかしいですが、時計回りに展開して直線の表にすると下のようになります。

360° 0 30 45 60 90 120 135 150 180 210 225 240 270 300 315 330 360
東西南北 - 北東 - - 南東 - - 南西 - 西 - 北西 -
十二支

ウシ
(艮)
ウシトラ

トラ


タツ
(巽)
タツ


ウマ

ヒツジ
(坤)
ヒツジサル

サル

トリ

イヌ
(乾)
イヌイ

時計 12 1 1時半 2 3 4 4時半 5 6 7 7時半 8 9 10 10時半 11 12


 ところで、直進をあらわす「ヨーソロー」の語源は、候文(そうろうぶん)の「宜候(宜シク候)」。これで「よろしくそうろう」と読みます。略してヨウソロ。「あけましておめでとうございます」をアケオメと短縮してしまうのと、同じコンセプトです。意味は「よろしくおねがいします」なので、「舵そのままでよろしくー」です。