「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その2

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.11〜20

11 デカルト 4389420119
デカルト (Century Books―人と思想)
伊藤勝彦

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 423767

12 パスカル 4389410121
パスカル (センチュリーブックス 人と思想 12)
小松摂郎

清水書院 2000
売り上げランキング : 1024078

13 ロック 438941013X
ロック (センチュリーブックス 人と思想 13)
田中浩 浜林正夫 平井俊彦 鎌井敏和

清水書院 2000
売り上げランキング : 129828

14 ルソー 4389410148
ルソー (センチュリーブックス 人と思想 14)
中里良二

清水書院 2000
売り上げランキング : 200936

15 カント 4389410156
カント (Century books―人と思想)
小牧治

清水書院 2000
売り上げランキング : 224784

16 ベンサム 438942016X
ベンサム (Century Books―人と思想)
山田英世

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 815923

17 ヘーゲル 4389410172
ヘーゲル (センチュリーブックス 人と思想 17)
沢田 章

清水書院 1970
売り上げランキング : 606972

18 J.S.ミル 4389410180
J.S.ミル (センチュリーブックス 人と思想 18)
菊川忠夫

清水書院 2000
売り上げランキング : 329357

19 キルケゴール 4389420194
キルケゴール (Century Books―人と思想)
工藤綏夫

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 117652

20 マルクス 4389410202
マルクス (センチュリーブックス 人と思想 20)
小牧治

清水書院 2000
売り上げランキング : 123352

《内容》

11 デカルト (wikipedia:ルネ・デカルト

レンブラントの絵に、「開いた本の前の哲学者 というのがある。この絵を見るたびに、なぜかデカルトのことを想いうかべずにおれない。デカルトは1650年、53歳で亡くなったのだから、こんな老人だったことはない。しかし、かれの生きた時代は、中世的なコスモスが破壊され、宇宙が混沌とした闇の中に深く沈んでいった時代であった。その闇の中へ、かれは光を生起せしめようとする。もちろん、恩寵の光ではなく、自然の光をである。自然の光によって闇の中につつまれていた宇宙をくまなく照らしだし、その構造的連関を明らかにしようとした。ルネサンス的混沌の中に沈んでいた宇宙の中に法則的秩序を発見し、スコラ自然学にかわる新しい世界像を生みだそうとしたのである。つまり、カオスからコスモスへの道をふたたび歩みゆこうとしたのである。 (表カバー)
12 パスカル (wikipedia:ブレーズ・パスカル

ブレーズ・パスカルはフランスの天才的な、ユニークな思想家である。法服貴族の子に生まれ手ずから父の教育を受けた。少年時代は主として数学を勉強し、またジャンセニスムの宗教に接した。1647年パリに出て、社交界に入った。1654年恩寵を体験し、決定的に回心した。当時、ジャンセニストとジェズイットとの争いが激化していたが、パスカルはジャンセニストの陣営に加わり、匿名で「プロヴァンシアル」を出し、ジェズイットを攻撃した。その後『キリスト教弁証論』の執筆にかかったが、死によって中断された。この未完のノートが『パンセ』と呼ばれるものである。パスカルは一生、病苦にさいなまれ、また思想的にも悩んだ。パスカルの「生涯と思想」が、じかにわれわれに訴えるのもこの点である。 (表カバー)
13 ロック (wikipedia:ジョン・ロック

偉大な時代は、偉大な思想家を生む。ロックは、17世紀に最初に近代を切り開いたイギリス市民革命の子であった。かれの思想の基本的性格は、人間の自由と権利をなによりも尊重し、そのために、人間の自由と権利に圧力を加えるさまざまな権力をどのように制限し、人間の自立性を保持していくか、というものであった。ロックにおける人間の自由と権力の問題は、ベンサム、ミル、ラスキと受けつがれ、かれの経験論哲学は18世紀の啓蒙哲学に巨大な影響を与え、それは、アメリカの「独立宣言」、フランスの「人権宣言」に具体化された。またその宗教的寛容論は、19世紀のプリーストリやミルによって、近代市民の権利としての「宗教の自由」の観念にまで昇華された。「世界人権宣言」は、20世紀におけるロック主義の輝かしい勝利の産物といえよう。 (表カバー)
14 ルソー (wikipedia:ジャン=ジャック・ルソー

今日にもっとも大きな影響w与えた18世紀の思想家の一人であるルソーは、貧しい家庭に生まれ、徒弟から作家にいたるまで数多くの職業を転々とし、h蘭万丈の放浪生活を送った。かれは「子どもの福音書」といわれた『エミール』を書いたが、生まれたわが子は次々にすてた。ルソーは人間の幸福を自然状態に求め、人間が社会の中で自由と平等を実現して幸福となるためには、社会は如何にあらねばならないかを追求した。正規の教育はほとんど受けず、自ら学んでいったかれは、非常に激しい感情と鋭い直観の持ち主であり、理論の人ではなかった。その思想には、それ故に、しばしば矛盾がみられるとしても、ルソーが提起した問題は時代を超えて、われわれの問題となっている。ここにルソーが現代に生きている所以がある。 (表カバー)
15 カント (wikipedia:イマヌエル・カント

学者であるカントは、学者だけが人間としてえらいのだと、うぬぼれていた。そして、無知の民衆を軽べつしていた。ところが、ルソーの書を読むにおよんで、目のくらんだうぬぼれを、根本からへしおられてしまった。カントは、すべての人間を尊敬することを、教えられた。すべてのひとの人格を尊重しないような人間は、どんな人間よりも劣った、恥ずべき人間であることを悟らされた。カントは、ルソーの書に、わけても『エミール』に読みふけった。その美しい文章や内容にみせられた。そして、時計ほどに規則正しい日々の散歩をさえ、おろそかにした。こうして、かれは、かれの哲学のカナメ(要)ともいうべき道徳論を、つくりあげていくのである。殺風景な、かれの書斎を飾った唯一のものが、ルソーの肖像であったということである。 (表カバー)
16 ベンサム (wikipedia:ジェレミ・ベンサム

ベンサムは幼い頃、祖母の家の倉から昔の剣をもちだし、野ネズミを追いまわして遊んだ。この野ネズミたちはかれにとっては心の友でもあった。かれはそのほかにほとんど遊び仲間をもたなかったからである。かれが生きとし生けるものを愛し、その虐待をいましめ、動物愛護の立法を提唱したのは、幼い頃からの動物たちへのおもいやりの心に根ざしたのである。ベンサムはまた植物を愛した。とくにイギリス西南部の森や野原の風物を好み、よく旅をし、フォードの僧院を別荘にもした。庭園はかれの趣味であった。植物を愛することによって、かれは自然の秘密にふれる喜びを味わうことができた。一見無味乾燥にみえる功利思想の背景にも、あたたかき生命ある風土があったのである。 (表カバー)
17 ヘーゲル (wikipedia:ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

ヘーゲルは、産業革命フランス革命、ナポレオンの出現とその没落など、世界史が大きく転換する時代のドイツに生をうけた。いつの世でもそうであるが、歴史的な大きな転換は、けっしてバラ色の道をとおってたんたんと進むものではない。したがって先進国・後進国を問わず、それぞれの国は、新しいものと古いもの、理想と現実、自由主義と反動主義などの対立や矛盾をかかえていた。眼前に展開しつつあるこのような「現実」を、ヘーゲルは、新時代の精神である「理性と自由」の実現されていく過程として、歴史的にすじ道だてて、根本から深く正しくとらえることに専心した。 (表カバー)
18 J.S.ミル (wikipedia:ジョン・スチュアート・ミル

J.S.ミルの父親は最もきびしい意味での「教育パパ」であった。かれはミルが誕生するとまもなく、その特異な「天才教育」を開始した。それは、すでに3歳の頃からギリシア語の古典をたたきこむという苛酷なものだった。このきびしい訓練を耐えぬいたミルは、歴史上の人物の中で、知能指数最高(180)と目されるが、反面「人造人間」となってしまって、青年時代には一種のノイローゼになやまされる。これをなかば克服しかけたとき、かれの眼前に彗星のように現れたのがテイラー夫人であった。ミルはあらゆる社会的非難にもめげず、この美しい人妻を20余年間敬愛しつづけ、結局はゴールインできた。二人はその後も精神的に高め合って、それぞれに円熟した境地に到達する。こうして、精一杯良心的に生きようとした19世紀の偉大な頭脳――哲学者・社会改良家――の生涯と思想は興味ある問題を投げかけている。 (表カバー)
19 キルケゴール (wikipedia:セーレン・キェルケゴール

敬虔な一商人の子として北欧の小国デンマークに生まれたキルケゴールは、動乱の時代であった1840年代に、現代人の運命を予見する独創的な著作をやつぎばやに発表して、小市民的な考え方や大衆社会状況を弾劾した。父親ゆずりの憂愁をたたえ、現代を支配する絶望の気分を鋭く摘発していくかれの文体の奥は、世俗の安定をしりぞけて、人生の無限の可能性に賭けようとする北欧バイキングの冒険心と、恋愛の甘美な密も、華麗な地上の名声も投げすてて真実につこうとするハムレットの勇気とが、こめられている。世間の嘲笑のうちに淋しく逝ったこの孤独な単独者は、今や、現代実存思想の開祖とあがめられて、コペンハーゲンの王立図書館の中庭から全世界の思想界に君臨する、一方の雄となっている。 (表カバー)
20 マルクス (wikipedia:カール・マルクス

この本の主人公マルクスが生まれたのは1818年で、かれの主著『資本論』が世にでたのは、120年ほどまえのこと。ところが、こんにちの世界の3分の1が、すでにマルクス主義による社会体制をとっている。そうでない国や民族も、大なり小なりマルクス主義の影響をうけているし、うけないわけにはいかない。世界史のうえで、かつてこんな思想があったろうか。史上まれな思想家であり、実践家であったマルクスの日常は、勉強と活動にあけくれた。貧乏・迫害・中傷・追放、そして晩年には病苦がかれにつきまとった。こういう、まさに生涯の苦闘のなかにあって、たえずマルクスを助け、励まし、かれに忠告や助言や影響をあたえたのは、よき妻イェニーと、よき友エンゲルスであった。マルクスの思想は、より正しくは、マルクス・エンゲルス主義と称されなくてはなるまい。 (表カバー)

「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その3

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.21〜30

21 福沢諭吉 4389410210
福沢諭吉 (センチュリーブックス 人と思想 21)
鹿野政直

清水書院 1967-12
売り上げランキング : 1107722

22 ニーチェ 4389420224
ニーチェ (Century Books―人と思想)
工藤綏夫

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 88457

23 J. デューイ 4389420232
J・デューイ (Century Books―人と思想)
山田英世

清水書院 2016-01
売り上げランキング : 1673674

24 フロイト 4389410245
フロイト (センチュリーブックス 人と思想 24)
鈴村金彌

清水書院 2000
売り上げランキング : 165171

25 内村鑑三 4389420259
内村鑑三 (Century Books―人と思想)
関根正雄

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 537652

26 ロマン・ロラン 4389410261
ロマン=ロラン (センチュリーブックス 人と思想 26)
村上嘉隆 村上益子

清水書院 2000
売り上げランキング : 768753

27 孫文 4389420275
孫文 (Century Books―人と思想)
横山英 中山義弘

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 321471

28 ガンジー 4389410288
ガンジー (センチュリーブックス 人と思想 28)
坂本徳松

清水書院 2000
売り上げランキング : 702482

29 レーニン 4389410296
レーニン (センチュリーブックス 人と思想 29)
中野徹高岡健次郎

清水書院 2000
売り上げランキング : 940404

30 ラッセ 4389420305
ラッセル (Century Books―人と思想)
金子光男

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 618309

《内容》

21 福沢諭吉 (wikipedia:福澤諭吉

戦後のいわゆる民主化とともに、福沢諭吉は、民主主義の先駆者として高く評価されるようになった。ただ教科書の推薦する人物・偉人伝中の人物は、とかく牙をぬかれた人間像として示される。けれどもそれは、今日のわれわれにとって、この近代日本最大の思想家をかならずしも正当に遇するみちではなかろう。福沢諭吉の思想と障害は、日本の近代化の本質をずばりと、しかも多面的にあらわしている。それだけにかれのうちには、近代日本の栄光と悲惨が鮮明に体現されている。わたくし自身はといえば、初めて福沢の文章に接したとき、100年まえの日本にこんな新しい人間がいたことにつよい印象をうけた。それ以来、福沢をすばらしいと思い、また時にはにくいとも思いつつ、しかも近代日本を考える場合、たえずかれにたちかえらなければならなかった。 (表カバー)
22 ニーチェ (wikipedia:フリードリヒ・ニーチェ

ニーチェほど、徹底して「反(アンティ)」)の立場を貫きとおした思想家も、めずらしいであろう。かれは、その著書の標題も暗示しているように、流行に背を向ける「反時代的考察」家であり、大地の上なる生のために彼岸を拒否する「反キリスト者」であり、「善悪の彼岸」に立脚して生きる反動徳主義者(インモラリスト)であり、「偶像のたそがれ」を告知して「一切価値の転換」を志すニヒリストであることを、無上の誇りとして生きた。神の死に代わって地上の生を主宰すべき「超人」の産出は、こうした破壊の犠牲によってのみ可能である、と信じたからである。神なき人生をむしばむニヒリズムからの快癒を念ずるがゆえに、ニヒルな想念のすみずみまで分け入ってその空しさを摘出しようとしたのが、ニーチェであった。私どもは、こうしたニーチェの真摯な思索態度から、現代人としての生きることの難しさを学びとるべきなのである。 (表カバー)
23 デューイ (wikipedia:ジョン・デューイ

ジョン・デューイアメリカ合衆国の東北、ニューイングランドの山あいにあるシャンブレイン湖のほとりにうまれ、この地方のきびしいけれども、しかし美しい自然をゆりかごとして育った。少年の頃に歩きまわった山や川や湖水の思い出、それに、新聞配達や材木の数しらべなどの小遣いかせぎをやらせたかれの家のきどらないくったくのなさは、生涯を通じてかれの思想に、自然への郷愁と庶民的なあたたかさを与えずにはおかなかった。かれの思想が淡々としていて、おごるところもなければはったりもなく、それでいて人の心にほのぼのとしたぬくもりを与えてくれるのは、かれの幼少時代をはぐくんだ素朴なニューイングランドの自然と社会が、かれの思想のふるさとであったからである。歌を忘れたカナリアである現代人に、デューイは、もっと謙虚になれと語りかけているかのようである。 (表カバー)
24 フロイト (wikipedia:ジークムント・フロイト

8歳でシェイクスピアを読み、17歳で高等学校(シュペール・ギムナジウム)を主席で卒業というように、ジグムント=フロイトは幼いころからその天分をきらめかせていた。しかし、学問上かれを有名にするような業績が真に実現されたのは、むしろ中年をすぎてからであった。これは、天才の生涯としては、めずらしいことである。しかも、かれのいわゆる「性的」な理論は、当時の社会から手きびしい反撃を受けた。そのうえ、かれがユダヤ人であったことは、その生涯をいっそう苦難に満ちたものにした。ナチスに故郷を追われ、異郷のの地ロンドンでその生涯を閉じたのも、そのためであった。このような苦難の生涯を通じてつねにかれをよく理解し暖かく包んでくれたのは、妻のマルタ・ベルナイスと娘のアンナであった。 (表カバー)
25 内村鑑三 (wikipedia:内村鑑三

内村鑑三は明治・大正・昭和の日本に大きな足跡を印し、消すことのできない影響を与えた。明治24年の有名な「不敬事件」で内村は身をもって天皇の神化に抵抗し、日露戦争に際しては、職を賭して非戦を唱えた。明治以降の日本人のなかで、かれほどに真剣な戦いの生涯を送った者はまれである。新渡戸稲造とともに、初期の札幌農学校の生んだ世界的人物である。札幌において「青年よ、大志をいだけ」の一句で有名なクラークの残したキリスト教の信仰に接し、のち渡米してアマスト大学のシーリー総長を通じ信仰の真髄をつかんだ。帰国後、教育者・社会評論家としての目ざましい活動ののち、独立独歩の伝道者として立ち、二千年のキリスト教史に新たな時期を画する無教会キリスト教を唱道した。かれの思想の意義は終戦後新たに各方面で注目されている。 (表カバー)
26 ロマン・ロラン (wikipedia:ロマン・ロラン

ロマン・ロランは1935年、ゴーリキーの招待に応じてソ連を訪問した。その都市の6月から7月までの約1か月間、ゴーリキーの家に滞在した。ソ連では各界の要人並びに民衆のあたたかい歓迎を受けた。ゴーリキーとは長い間の文通を通じて、ともに革命的ヒューマニズムの問題に関して、心を打ちあけうる最も信頼しあう友人となっていたが、お互いが会うのは、これが初めてであった。間もなく第二次世界大戦が始まろうとしている、ある夏の短く美しい友情のひとときであった。このように国外の作家とも交友のあったロマン=ロランは、あくまで理想主義的な人間像を追及し、第一次世界大戦では反戦運動に加わり、平和のために筆をもって戦いつづけ、ヨーロッパの良心といわれた。 (表カバー)
27 孫文 (wikipedia:孫文

「革命はまだ成功していない。同志諸君、奮闘努力せよ!」 これは癌に倒れた孫文が、今まで地と汗で切り開き、踏み固めてきた30年の革命運動の幕を閉じるに当たって、同志に遺した最後の愛国的悲願の叫びである。孫文は、祖国の独立と近代化、国民大衆の解放をめざして、その方策を、実践と思索をくり返しながら探究しつづけた。先駆者の道はきびしく、多くの失敗や誤りも避けられなかったが、かれの革命的精神は不死鳥のように再起して前進をつづけ、ついに、民族解放・民主革命の正しい思想をつくりあげて革命運動の先頭に立った。かれの生涯と思想とは、「革命の父」とよばれるのにふさわしく、今もなお、毛沢東思想の根底に流れて生きつづけている。 (表カバー)
28 ガンジー (wikipedia:マハトマ・ガンディー

ガンジーは「真理の神に対する忠誠は、他のすべての忠誠にまさる」といった。ガンジーにとっての真理とは、インドであり、インドの民衆であり、インドの貧しい農民であり、社会のどん底に虐げられたハリジャン(不可触民)であった。ガンジーは、自分ひとりの救いを求める求道者でもなければ、聖者でもない。かれは無言の民衆の心のなかに神、すなわち真理を見出し、この真理への献身が、インド独立の父にかれを立てたのである。ガンジー生誕百年が記念されたのも、この意味においてである。 (表カバー)
29 レーニン (wikipedia:ウラジーミル・レーニン

ロシア革命の指導者としての、またソ連邦の建国の父としてのレーニンの名を、知らないひとはいないであろう。かれは、マルクスの思想を実践に移し、世界の歴史上初めて、人間による人間の搾取と抑圧のない社会主義の理想を実現しようとうする政権を誕生させた、最大級の革命家だった。ロシア革命レーニンの名は、世界中のしいたげられたひとびとが人間としての誇りにめざめて立ちあがるという、20世紀の新たな世界史的趣向をつくり出す巨大な衝撃波として、世界に伝わっていった社会主義のあり方が根底から問い直されている現在、私たちに必要なことは、レーニンの人と思想の原点に立ち返り、自分の頭で正確にとらえ直そうとする努力である。 (表カバー)
30 ラッセル (wikipedia:バートランド・ラッセル

ラッセルは、歴史の動きを鋭くとらえる知性と、これから社会をつくっていこうとする子どもたちへの深い愛情をもって、限りない前進をつづけている。彼は、この狂気じみた世界情勢のなかにあっても、けっして絶望することはない。あらゆる人間性を信頼し、それに新しい希望を託しているからである。とくに彼の子どもと青年に対しての期待は、涸れることのない泉のごとく暖かい心情にみちあふれている。われわれは、あのビーコン・ヒル・スクールの教育と生活のなかに見られる優しい慈父のような笑顔のなかに、これまでいくつかの苦難と生涯を乗り越えて生き抜いてきた世紀の哲学者の偉大な満ち足りた姿をみる。子どもたちの若い魂は、無限の可能性をはらんでいるのである。そしてそれを発酵させる教育の仕事こそ、新しい社会を築くカギとなるものであろう。 (表カバー)

「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その4

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.31〜40

31 シュバイツァー 4389410318
シュバイツァー (センチュリーブックス 人と思想 31)
小牧治 泉谷周三郎

清水書院 2000
売り上げランキング : 321869

32 ネルー 4389420321
ネルー (Century Books―人と思想)
中村平治

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 1279833

33 毛沢東 4389410334
毛沢東 (Century books―人と思想)
宇野重昭

清水書院 2000
売り上げランキング : 1074783

34 サルトル 4389420348
サルトル (Century Books―人と思想)
村上嘉隆

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 755313

35 ハイデッガー 4389420356
ハイデッガー (Century Books―人と思想)
新井恵雄

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 1118436

36 ヤスパース 4389420364
ヤスパース (Century Books―人と思想)
宇都宮芳明

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 580154

37 孟子 4389410377
孟子 (センチュリーブックス 人と思想 37)
加賀栄治

清水書院 2000
売り上げランキング : 969147

38 荘子 4389410385
荘子 (センチュリーブックス 人と思想 38)
鈴木修次

清水書院 2000
売り上げランキング : 1009873

39 アウグスティヌス 4389410393
アウグスティヌス (Century Books―人と思想)
宮谷宣史

清水書院 2013-05
売り上げランキング : 329968

40 トーマス・マン 4389410407
トーマス・マン (Century Books―人と思想)
村田経和

清水書院 1991-07
売り上げランキング : 537564

《内容》

31 シュバイツァー (wikipedia:アルベルト・シュヴァイツァー

アルベルト・シュバイツァーは、21歳の夏、「わたしは、30歳までは、学問と芸術のために生きよう。それからは、直接人類に奉仕する道を進もう」と決心し、その後、医学を勉強して、38歳のとき、哲学者・宗教家・音楽家の地位をなげすてて、もっとも恵まれない黒人を救うために、アフリカに向かったのであった。それから50年、シュバイツァーは「生命への畏敬」をモットーに、ランバレネにヒューマニズム灯台をたて、その光をより明るく、より遠くへおよぼしていった。ところで、人命尊重の精神さえ失われがちなこんにち、われわれはシュバイツァーの生涯と思想とを理解して、そのすぐれた精神を学び、それを日常生活において具体化して、より明るい社会を築くように、努力することが必要なのではなかろうか。 (表カバー)
32 ネルー (wikipedia:ジャワハルラール・ネルー

一度ならずネルーは、自分が特定の人間から影響を受けたことはないといっている。その通りであろうが、ガンディーから受けた影響はきわめて大きい。時としてネルーはガンディーの痛烈な批判を行いながら、ガンディーが活躍した時代環境の中からネルーは育ってきた。その点はネルーも認めており、インドの大衆の哀歓を汲みつくす中から、また、大衆と行動をともにする中から、ネルーは大衆指導者としての地位を築きあげた。大衆との接触を通じてネルーがインドを発見して行く過程は、まさに先達としてのガンディーが敷設した軌道の延長線上に連なるものであった。その政治指導上のバトン・タッチに至るまで、ガンディーは現代インドの見張りの役割をつとめた。ネルーもそれを期待していた。この役割は不幸にして独立インドの過熱した民族主義により中途で否定されたけれども。 (表カバー)
33 毛沢東 (wikipedia:毛沢東

ヨーロッパ近代とは何か。血のにじむような中国の実体験をもってこれに答えようとしたのが、毛沢東であった。ヨーロッパ近代、それは中国にとっては新しい苦しみの始まりを意味した。これと対決するには、徹底的文化革命とともに、実際的な武装闘争が必要であった。毛沢東が、まず現実的な軍事戦術論においてその特徴を発揮したのも、そのためである。そこには、マルクスレーニンの理論とともに、伝統的な中国のちえが生きて働いている。激動する中国にあって、いまおなお毛沢東の哲学的・思想的体系はととのえられるにはいたっていない。しかし、われわれは、その思想の原型の形成過程の跡を追うとき、毛沢東個人をこえた毛沢東思想の可能性を読みとっていくことができるであろう。 (表カバー)
34 サルトル (wikipedia:ジャン=ポール・サルトル

もし、「現代に生きるサルトル」ということばが、サルトルの表面を飾るにふさわしいことばであるとするなら、「ボーヴォワールとともに生きるサルトル」という表現は、サルトルの内面を飾るにふさわしい。ともに哲学を愛し、ともに文学を愛しつづけた二人の生涯を前にして、わたしは何かある誇りのようなものを感ずる。その誇りの感情は、ひとりの人間が他の人間によせることのできる、現代ではむしろまれになってしまった感情なのだ。ボーヴォワールにとって、サルトルの存在は唯一最大の誇りであったと同じように、サルトルにとってもボーヴォワールの存在は唯一最大の誇りであったにちがいない。 (表カバー)
35 ハイデッガー (wikipedia:マルティン・ハイデッガー

第一次世界大戦――それは西洋の没落を人々に意識させたエポック・メーキングなできごとであった。大戦後、人々が不安と危機意識におびえているさなかに登場したハイデッガーは、人々の間に深い感動を巻き起こした。その著「存在と時間」は、人間を実存の根底から見返しつつ現代と対決した実存主義の金字塔である。以来、ハイデッガーは、神秘的な存在の思想へと思索を深めながらも、一貫して歴史や文化と対決し、現代を超え行く道を探し求めた。科学技術の支配のもとで、故郷を喪失し自分自身を見失っている私達に、ハイデッガーは故郷へ帰る道を指し示そうとするのである。 (表カバー)
36 ヤスパース (wikipedia:カール・ヤスパース

第一次大戦と第二次大戦――人類は20世紀の前半に2つもの大戦を経験した。大多数の人間が人間であることを見失ったこの時代に、人間の高貴な生き方を貫きとおし、時代の良心を代弁したのが、カール=ヤスパースである。ヤスパースは時代のなかで、時代とともに、しかもなお時代を超えて、人間とは何かを、歴史とは何かを、平和とは何かを、問い続けてきた。その思想の核心は、実存としての人間の自由とその擁護にある。現代ではリベラリストを自称するまやかしの思想家が多いが、ヤスパースこそは正真正銘のリベラリストであって、その確固とした信念とに人類の未来への懸念は、深く考えぬかれた思想のすみずみにまで及んでいる。 (表カバー)
37 孟子 (wikipedia:孟子

……それにしても、わたくしは、これまでになく孟子を闘う思想家として方向づけたように思われる。それが、わたくしの筆の走り過ぎによるものであれば、読者におわびしなければならないであろう。しかし、歴史の陰にかくれてみえない壮・中年期の孟子の生きた姿を、なんとかとらえようとして突っこんでゆくと、かならずぶつかるのが楊・墨子に対する闘争であり、また彼によって樹立された儒家の新学説も、ほとんどすべてといってよいほど、対楊・墨闘争の中から形成されたものであった。この実相は、ほぼまちがいないと思う。とすれば、生きた孟子の生涯のすがたは、やはり熱い血潮が体内をめぐり、切れば鮮血がほとばしるような、闘う思想家孟子のそれではなかったろうか。しかも、そこには、ちょうと河上肇博士の『自叙伝』を読み終えたときにも覚えた、闘う思想家のあの誠実さが貫かれている。…… (表カバー)
38 荘子 (wikipedia:荘子

わずらわしいことが多いこの世の中を克服して、スケール大きく、真に自由な世界に生きるには、どうしたら良いのか。また、どうしたらもっとも理想的な政治社会が作れるのか。そのことを一貫して考え続けたものが『荘子』である。『荘子』は、やがて、中国仏教の代表をなす禅を生んだ。『荘子』の知恵と禅の知恵との間には、共通するものが多い。本書は『荘子』的世界をわかりやすく解明し、禅との関係を明確に論じたユニークな著作である。…… (表カバー)
39 アウグスティヌス (wikipedia:アウグスティヌス

自伝文学の傑作『告白録』や最初の歴史哲学の書『神の国』の著者アウグスティヌスは、ヘレニズムとキリスト教を総合し、ヨーロッパ文化の基礎づけをしたことで、西洋中世の思想と文化に、ルネサンス宗教改革に、さらに現代の実存哲学などにも影響を与えているため、「最初の近代人」「西洋の教師」と見なされている思想家である。それに彼は、人間の心と愛を重んじたために心の哲学者」「愛の思想家」とも言われている。本書では、アウグスティヌスの生涯と思想を、とくに愛の体験と思想を丁寧に辿っていく。たとえば、彼は『告白録』のなかで、時間論、人間の意思や誘惑等の問題を詳細に論じ、現代の読者にも多くの刺激を与えている。また自らの生涯を、その内面を、愛と善悪を、この上なく率直に美しい文体で告白することにより、人間の存在そのものを深く正確に描き出している。アウグスティヌスの紹介は大変興味深く、読者を惹きつけるであろう。…… (表カバー)
40 トーマス・マン (wikipedia:トーマス・マン

第二次世界大戦ナチスによりドイツを追われアメリカにあったトーマス・マンは、自分こそドイツ文化を代表する者であり、大西洋の彼方にはもはやドイツはないと述べた。1875年から1955年まで生きたこの作家は、19世紀末、20世紀初頭、第1次世界大戦、ワイマル共和国、第2次世界大戦とナチ時代、そして戦後の世界を通じて、常に、ドイツの、ヨーロッパの、そして世界の声を代表してきた。その自信が彼のこの言葉を裏打ちしているのだが、その自信はどこから出てきたのだろう。自分のアイデンティティをどこに求めてよいか分からない少年時代を過ごし、ひたすらこれを追い求め、ついにその自負を得たトーマス・マンは、ドイツとドイツ人とをしるうえに、このうえない資料を私たちに示してくれる。…… (表カバー)

「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その5

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.41〜50

41 シラー 4389410415
シラー (Century books―人と思想)
内藤克彦

清水書院 1994-07
売り上げランキング : 530976

42 道元 4389420429
道元 (Century Books―人と思想)
山折哲雄

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 1354218

43 ベーコン 4389410431
ベーコン (センチュリーブックス 人と思想 43)
石井栄一

清水書院 2000
売り上げランキング : 175196

44 マザーテレサ 438941044X
マザーテレサ (CenturyBooks―人と思想)
和田町

清水書院 1994-10
売り上げランキング : 617985

45 中江藤樹 4389410458
中江藤樹 (センチュリーブックス 人と思想 45)
渡部武

清水書院 1974-09
売り上げランキング : 321536

46 ブルトマン 4389410466
ブルトマン (Century Books―人と思想)
笠井恵二

清水書院 1991-07
売り上げランキング : 667194

47 本居宣長 4389410474
本居宣長 (センチュリーブックス 人と思想 47)
本山幸彦

清水書院 2000
売り上げランキング : 1059827

48 佐久間象山 4389420488
佐久間象山 (Century Books―人と思想)
奈良本辰也 左方郁子

清水書院 2014-09
売り上げランキング : 271337

49 ホッブズ 4389420496
ホッブズ (Century Books―人と思想)
田中浩

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 992654

50 田中正造 4389410504
田中正造 (Century Books―人と思想)
布川清司

清水書院 1997-05
売り上げランキング : 901427

《内容》

41 シラー (wikipedia:フリードリヒ・フォン・シラー

ベートーヴェンの第九交響曲の終楽章の合唱の歌詞となった『歓喜の歌』の作者シラーは、ゲーテと協力して近代ヒューマニズムの薫り高いドイツ古典主義文学を完成した理想主義詩人である。劇作の巨匠であった彼は、何よりも民衆詩人となることを理想として、あのリンゴの的の話で有名な『ヴィルヘルム=テル』をはじめ、誰にでも親しまれる劇や物語詩をもたくさん書いた。こうして彼は、その作品・思想のみならず、人柄の上からも、最も代表的なドイツ人のひとりとして、今日も多くの人々に愛され尊敬されている。現代社会生活に不可欠なものでありながら、はなはだしく不足しているのは、まさに元素=《シラー》ではなかろうか、といったトーマス=マンの言葉は、シラー文学の現代的意義についての傾聴に値する証言といえるだろう。 (表カバー)
42 道元 (wikipedia:道元

午前三時になると、私は浅いいねむりからさまされた。遠くの方からかすかな振鈴の音がきこえ、短時間のうちにしだいにせりあがり、じっとうずくまっている闇を突き破るような、激しい響きとなって耳元に迫ってくる。初めはすり足のようにきこえていた霊水の足音も、打ち鳴らされる響きの急上昇とともに、天井板をふるわせんばかりの勢いで廊下を走りぬけていった。夜はまだ静寂の底に沈んでいたけれども、振鈴の合図で僧堂の一日が始まったのである。私は心せくままに身支度をし、坐禅堂に入った。頭の奥の方にはしこりのように疲れが残り、身体のふしぶしにひきつけるような痛みが走った。私は道元を想うとき、いつもあの振鈴の音を記憶のなかから呼びさまそうとしているのであろうか。その音は七百余年の時間を飛びこえて、道元の生活のぬくもりをそのまま運んでくれるように思われたのである。 (表カバー)
43 ベーコン (wikipedia:フランシス・ベーコン (哲学者)

ベーコンは、人類の福祉の発明家たらんとした哲学者であった。そのため彼は、広い分野の学問を手がけ、理論と実践の統一をめざし、学問の正しい方法の発明を企てたのである。彼にこうした遠大な夢を抱かせた背景として、当時のイギリスでは第一級の知的、宗教的、政治的雰囲気の中で育ったことが挙げられよう。厳格なカルヴィニストの母アン、国璽相の父ニコラスの薫陶のもとに、自然環境にめぐまれ、典型的な田園地帯にあったヨーク・ハウスとゴランベリ・ハウスとで幼時を過ごしたのである。学問上の大計画を達成するため、下院議員から大法官にまで登りつめ、国王の廷臣を自任した彼。しかし晩年の彼は、収賄によって失脚し、ゴランベリ・ハウスに隠棲した。それでも彼は、最後まで研究と著述に専念しつづけた、科学の精神の鼓吹者であった。 (表カバー)
44 マザーテレサ (wikipedia:マザー・テレサ

あるイギリスの女性がインドを訪ねて、マザーテレサの仕事を見学したとき、彼女は思わず呟いた。「百万ポンドをやると言われても、私にはできません。」すると、マザーは打てば響くように答えたという。「私にもできません。」ここで二人は一致して「ほんとうに同感」という表現をしているが、実は全く別のことを言っている。先の女性は、「とうてい私にはこの仕事はできない」と、百万ポンドに託して嘆息しているのだが、マザーは「お金のためというのならばどんなに大金であっても私にはできない」と言ったのである。お金には価値がある。しかしマザーはお金と引き換えることができないもののために働いているのである。その原動力は何であろうか。マザーは、その生き方で「ひとつの思想」を実現している。 (表カバー)
45 中江藤樹 (wikipedia:中江藤樹

ニ君にまみえずというのはおかしい。よく生きることになっているかどうかが大切である。中江藤樹の基本的な立場はここにある。老母への孝養のために脱藩もあえてした。学問のためには、当時の権威林羅山を、人まね上手の鸚鵡とさえいいきった。藤樹にとって大切なことは、よく生きることに全力を尽くすことであった。この点について、藤樹は、才能の有無も、貧富も、身分の違いも問題にしなかった。だから低能児了佐を一人前の医者に育てあげるのに精魂をつくし、見切り発車をしなかった。人生五〇年を一〇年もはやく、その学問も完成に向かおうというときに、にわかになくなった。まことに惜しいことである。 (表カバー)

《内容》のつづき

「Century books 人と思想」シリーズの本 既刊本リスト (清水書院) その1

大人の教養 / リベラルアーツ

「人と思想」 既刊本一覧 No.1〜10

1 老子 4389410016
老子 (センチュリーブックス 人と思想 1)
高橋進

清水書院 2000
売り上げランキング : 127068

2 孔子 4389410024
孔子 (センチュリーブックス 人と思想 2)
内野熊一郎

清水書院 2000
売り上げランキング : 125963

3 ソクラテス 4389410032
ソクラテス (センチュリーブックス 人と思想 3)
中野幸次

清水書院 2000
売り上げランキング : 151817

4 釈迦 4389410040
釈迦 (センチュリーブックス 人と思想 4)
副島正光

清水書院 2000
売り上げランキング : 537390

5 プラトン 4389420054
プラトン (Century Books―人と思想)
中野幸次

清水書院 2014-08
売り上げランキング : 566955

6 アリストテレス 4389410067
アリストテレス (センチュリーブックス 人と思想 6)
堀田彰

清水書院 2000
売り上げランキング : 671572

7 エス 4389410075
イエス (センチュリーブックス 人と思想 7)
八木誠

清水書院 2000
売り上げランキング : 285338

8 親鸞 4389420089
親鸞 (CenturyBooks―人と思想)
古田武彦

清水書院 2015-08
売り上げランキング : 783553

9 ルター 4389410091
ルター (センチュリーブックス 人と思想 9)
小牧治 泉谷周三郎

清水書院 2000
売り上げランキング : 758741

10 カルヴァン 4389410105
カルヴァン (センチュリーブックス 人と思想 10)
渡辺信夫

清水書院 2000
売り上げランキング : 318093

《内容》

1 老子 (wikipedia:老子

道徳、道徳とさわぐ時は、ほんとうの道徳がすたれている。知恵がつくと偽りが出てくる。真の徳を身につけている人ほど表に表さない。大人物は晩[おそ]くできあがる。……老子の説くところつねに逆説的である。企業戦争、エネルギー革命、打倒〇〇。われわれをとりまく日常はすべてこれ“力”である。そして人間は文化・文明に限りなく毒されている。老子は人間のこのような作為・小ざかしい知恵・とらわれた心を捨て去り、およそ存在する人・ものが、おのずからそのように在る・成るところにすおに由り順[したが]え、そうすればかえって個々の人・ものは生かされる、という。しかし、存在の原点に立って、ものの自然に帰れ、と教える老子という人物の実在性も、成書年代もはっきりとわからない。広大な中国大陸の天と地の間から生れ出たこの思想は、二千数百年来、中国人はもとより世界の人々に愛され読みつがれてきている。 (表カバー)
2 孔子 (wikipedia:孔子

十八史略などからかもし出される中国史のムード、あるいは論語などから理解するものは、世代によってもちがってきている。孔子ということでは、遠い古典の「無関係」な世界の別人――捨子とされやすい。あるいは現代的な意義や発想からも、厳しく批判されるなど、いまの世潮の中で動揺している。孔子の教説ということでは、中国の国民性や古代中国の史的背景などを離れては、その解釈も成立しないであろう。孔子のイメージからは、豊かな人間味、また不断の向上自修の姿などを感じ取ることができる。かれが生死した激しい転換期に、わたくしたちのパトスを投影して、公正、客観的に再考してみたい。 (表カバー)
3 ソクラテス (wikipedia:ソクラテス

アテナイの彫刻師と、産婆の息子として生まれたと伝えられるソクラテスの回心をうながしたものは、デルフォイアポロンの神殿にかかげられていた「なんじ自身を知れ」という格言である。弟子のカイレポンを通じてソクラテスにもたらされた、「アテナイソクラテス以上の賢者はいない」とは、このアポロン神の言葉であった。それからのソクラテスは、「無知の知」の吟味を生涯の使命とし、みずからを「アブ」にたとえ、「シビレエイ」にもたとえられたりして、「死命の思想」に生き、紀元前399年アテナイの牢獄で死刑になった。一冊の書物も残さなかったが、プラトンという偉大な弟子を生み、現在でも多くの人に語りつづけられている。「いかにしたらよく生きられるか」という問いを人類になげかけ、その答えを求めている不朽の哲人である。 (表カバー)
4 釈迦 (wikipedia:釈迦

釈迦は紀元前5世紀ころ、北インドで、シャカ族の太子として生まれた。かれは、生・老・病・死というだれもが一生のうちで経験しなければならない問題に深く悩んだ。この問題を契機として、かれは深く人生に悩み、宮中のなに一つ不自由ない暖衣飽食の生活をみずから捨て、出家苦行の生活に身を投じた。かれは、6年間の苦行の末、ついに覚りに達し、仏陀(覚者)となった。かれの覚りの内容は深く、難解なものではあったが、当時の北インドの人々に大きな影響を与えた。やがて全インドに、ついで多くのアジアの国々に深い精神的文化的影響を与えてきた。仏陀(覚者)となることを理想とする仏教の教えは、多くの人々の研究するところとなり、19世紀以降は、欧米においても研究が深まり、今や真理と価値を探求する世界中の人々によって、仏教の重要さが再認識されようとしている。 (表カバー)
5 プラトン (wikipedia:プラトン

政治家になろうとしていたプラトンを哲学に回心させた最大の動機は、ソクラテスの刑死であった。プラトン28歳のときである。それからのかれは、著述に、教育に、講義に、理想国の実現にと、80年の生涯をかたむける。まさに哲学者の模範である。「善のイデア」と弁証法の発見は、ソクラテスの主張した「魂の不滅」と問答法の、プラトン的継承にほかならない。政治家が哲学をするか、哲学者が政治をするようにならないかぎり、人類の危機は救われない、というかれの政治哲学は、あまりにも有名である。こうしてかれは、もっともオリジナルで、もっとも影響力の深い哲学者となった。ソクラテスの刑死は、「死命の思想」の成立を意味し、それの全人類への啓示であり、プラトンにとっては生の原点となったのである。 (表カバー)
6 アリストテレス (wikipedia:アリストテレス

学問は驚きから出発する。ごく身近の不思議な事象から、はるかに大きな宇宙の生成にいたるまで、すべての事象は人間に驚きの念を起こさせる。この驚きの念は無知を自覚させるに通じ、ひいて、人間は、無知を脱却するために知恵を愛求しはじめる。まことに「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」のである。アリストテレスの生涯を貫くものは、この不屈の愛智の精神であった。かれはあらゆる領域で、現象を説明する原理を探求し、進んでそれらを統一する一つの観念を確立した。「現象は脈絡のない事件の生起ではない。万物は、その機能を通じて、永遠に活動する神的理性によって支配されている。世界はこういう生きた善美なる全体である」と。この一つの理性あるいは法則が支配するという観念、これこそ三千年の歳月を経てもなおわれわれに語りかけてくるギリシア的精神の神髄なのである。 (表カバー)
7 エス (wikipedia:ナザレのイエス

エス生誕の年が西暦元年と定められたほど、キリスト教は西欧世界に、さらに全世界に深く強い影響を与えた。現在世界のキリスト教徒は約10億、全世界の人口のほぼ25%を占めると言われる。しかしイエスは特別な人間、他の誰とも質的に隔絶した人間だったのではない。イエスはただの人であり、そしてただ人の生き方をもっとも真実に生き、示した人である。まさにこのゆえに、イエスは世に容れられず、十字架につけられてしまった。この事件は、世の人がどんなにただの人間であることを拒み、特別の人間になろうとしているか、その倒錯の深さを教える。しかしイエスは敗北しなかった。イエスを救世主と信じるひとびとの群が起こり、世界を改革していった。このことは、世界の不幸と虚無と罪悪にもかかわらず、イエスをイエスとして生かした真理の究極の勝利を象徴している。 (表カバー)
8 親鸞 (wikipedia:親鸞

承元元年、大弾圧は下った。親鸞は、師の法然とともに流罪人とされた。親鸞の心に、もっとも深い怒りを刻みつけたのは、同志、住蓮・安楽の死刑だ。よこしまな腹立ちから、かれらを御所の庭にひきすえた後鳥羽上皇。その面前で安楽は、不法の弾圧者は必ず滅びると、断言したという。親鸞は、流罪中、この権力者の行為に、はげしく抗議した。「主上・臣下、法にそむき、義にたがう」と、かれは、90歳の死にいたるまで、この思想的節操を変えることがなかったのである。だから、親鸞の生涯をひと言でいえば、「生き残り、生き抜いた住蓮・安楽」としての一生だった。その住蓮・安楽の墓は、いま、京都東山の法然院の隣に、ささやかに、存在している。 (表カバー)
9 ルター (wikipedia:マルティン・ルター

ルターは修道院でのきびしい苦行、思索、研究をかさね、深い精神的苦悶をのりこえて「神はキリストを通して罪深い人間をうけ入れたもう」という「新たな義の理解」に到達した。こうして「信仰によってのみ義とされる」という定式はルターの血肉となったのである。1517年10月、ルターはヴィッテンベルク城教会の扉に「95か条の提題」を提示した。ルターは腐敗したローマ教会との戦いのなかで「信仰のみ」「聖書のみ」などの原理を明らかにし、一貫して福音主義の信仰を主張しつづけた。われわれは今日のような激動する社会において、ルターの生涯と思想から時代を超越したなんらかの「永遠なるもの」を学びとることができるのではないだろうか。 (表カバー)
10 カルヴァン (wikipedia:ジャン・カルヴァン

キリスト教の思想家で、社会的に大きい影響をおよぼした人としては、第一にカルヴァンをあげねばなるまい。キリスト教のうちでも、当時まだ発足早々であったプロテスタントの陣営、しかもそれのさらに一小部分にかれの活動分野は限られていたが、やがてヨーロッパ全域が直接間接にかれの影響をうけた。いったい、宗教思想というものは社会の思想から数歩しりぞいたところに立つのがふつうである。ところがカルヴァンは、社会をリードし開発していくような思想の開拓者になった。かれはそのような道を、人生の深みに徹し抜くことによって切り開いていった。そのいみで、かれはたんに社会思想家であるのみでなく、すぐれた人生の教師であり、人生における最も真なるものの証言者である。 (表カバー)